- 特定の宗教を信仰しているが自宅に遺骨を置く正しい方法を周囲に聞いてもわからない
- 自宅に遺骨を置くときのルールがあるなら知りたい!
- 宗教とは無関係に自宅で遺骨を置く場合は何に気を付けるべき?
遺骨を自宅に置くという状況は主に二通りのケースが考えられます。
1つは自宅でご遺骨を期間の定めを設けずに安置するというケースで、一般には手元供養や自宅供養と呼ばれる供養方法を選択した場合。
そしてもう1つが、宗教上のルールに従い納骨(お墓などへ埋葬)するまでの期間だけ、自宅にご遺骨を置いて供養するというケースです。
どちらのケースであっても、【自宅に遺骨を置く】という状況は非日常的な行いですから、正しい置き方やルールがわからなくて困ってしまうのは仕方がないことです。
この記事ではご遺骨を自宅で保管する際の、置き方や注意すべき点などを解説してますので、初めて手元供養を行う方や納骨までご遺骨を置く方法を知りたい方は是非最後まで目を通して参考に役立ててください。
そもそも自宅にご遺骨を置くのは良くないことではないの?という基本的な部分が気になってしまう方は、読み進める前に下記に目を通してみてください。
自宅でご遺骨を置く前に知っておきたい基本事項!
ご遺骨を自宅に置く方法や置き方について解説する前に、まずは知っておきたい基本的な部分を抑えておきましょう。
手元供養でご遺骨を自宅へ持ってくる前に知っておきたい基本事項は以下の通り。
- ご遺骨の状態によって変わる置き方とその選択肢
- 持ち帰るご遺骨の量
- 手元供養品や手元供養台について
各項目ごとに詳しく解説していきます。
遺骨と遺灰の違いとは形状だけではない!
まず最初に知っておきたいのは、遺骨と遺灰の違いについてです。
故人を火葬したときに灰となった部分の亡骸を”遺灰”と呼び、骨として燃え残った亡骸を”遺骨”と呼びます。
また、持ち帰ったご遺骨をパウダー状に粉骨した場合も”遺灰”として分類される点は事前に抑えておきたいポイントです。
遺骨と遺灰の相違点には
- 粉末状の遺灰は遺骨よりも省スペースで管理ができる
- 遺骨を土に埋めると”埋葬”に該当する(遺灰も勝手に捨てるのはNGだが散骨は可能)
このように、見た目だけでなく埋葬時の法的解釈が変わってしまうので軽視できない違いだといえます。
将来的に自宅に置いておくことが難しいとなったとき、散骨や自然葬を考えているのであればご遺骨をあらかじめパウダー状に粉骨しておいた方がスムーズです。
続いてはご遺骨の状態や持ち帰る量で、自宅での置き方にどのような違いが起こるのかをみていきましょう。
持ち帰るご遺骨の状態や量、宗教によってさまざまな違いがある
自宅にご遺骨を置くといっても、その方法や置き方にはさまざまな違いがあります。
特に大きな違いとなる要素を大まかに分類すると
- 宗教的な自宅保管か手元供養かの違い
- 持ち帰るご遺骨の状態や量による違い
- ご遺骨の置き場所として確保できるスペースによる違い
冒頭でも触れましたが、自宅にご遺骨を置く理由の違いは置き方に大きく関わる重要な問題です。
故人を弔う流れの一環としてご遺骨を自宅へ置く場合は、あくまでも納骨までの一時保管なのでご遺骨は全骨(すべてのご遺骨をそのまま)が基本となります。
宗教ごとに異なるご遺骨の置き方については後述で詳しく解説します。
一方、手元供養をするためにご遺骨を自宅へ持ち帰る場合なら全骨である必要性はありません。
前述した通り、遺骨として持ち帰るのかパウダー状に粉骨する(もしくは遺灰のみ)かで総量に大きな差が生じます。
もし全てのご遺骨を持ち帰るとなれば、成人ならその総量は平均2.5kg前後という量になります。
保管には火葬場で納骨時に使う骨壺(または同サイズの容器)が必要となり、置く場所もそれなりのスペースを確保しなければなりません。
そのため、手元供養の場合はご遺骨の一部や遺灰だけを持ち帰り自宅へ置く方法が一般的となっています。
手元供養のために自宅に遺骨を持ち帰る際は、ご遺骨を置けるスペースの有無や、保管する方法やスタイルを先に決めておくことが肝要です。
自宅に遺骨を置きたいけどスペースが足りないときは
手元供養として自宅にご遺骨を置きたいと思っていても、充分なスペースを確保できないときはどうすればいいのでしょうか。
なるべく省スペースでご遺骨を保管したい人は、少量を持ち帰るか粉骨するという選択肢があります。
手元供養を実際に行っている人の半数以上が、ご遺骨の一部を少量だけ持ち帰り自宅に置くという方法をとっています。
何らかの事情でご遺骨全てを自宅で保管しなければならないのであれば、ご遺骨の体積そのものを減らす粉骨をすれば省スペースでの保管が可能です。
遺骨を自宅に置く方法にはさまざまなスタイルがある
自宅にご遺骨を置く方法はまさに千差万別で、個人の考え方や宗教観によってさまざまなスタイルを選ぶことができます。
部屋が狭いなどスペース的な問題を抱えていても、ごく少量の遺灰をペンダントに入れて飾る(または身に着ける)という方法もあるので、諦める必要は全くありません。
仏壇や仏間を準備できないけどご遺骨をちゃんと自宅に置きたい!という方なら、手元供養品として販売されている台やオブジェという選択肢もあります。
手元供養における分骨までの流れや、ご遺骨を自宅へ持ち帰る際の注意点などを詳しく知りたい方は、過去記事で解説していますので目を通してみてください。
自宅にご遺骨を置く方法!【宗教ごとの置き方の違い】
前項では手元供養としてご遺骨を自宅に置く場合の基本事項をお伝えしましたが、ここからは宗教ごとの違いについて解説していきます。
特定の宗教を信仰していたり住んでいる地域によっては弔いの一環として、火葬が終わりお墓へと納骨するまでの期間を『後飾り祭壇』を自宅に設置してご遺骨を自宅で保管することがあります。
ご遺骨の置き方や期間などは宗教によって異なりますので、この機会に正しい置き方を知っておきましょう。
神道(神式)におけるご遺骨の置き方と期間
神式でご遺骨を自宅に置く場合、その期間は納骨となる五十日祭までが一般的です。
後飾り祭壇は三段であることが多く、ご遺骨を置く場所は最上段に遺影などと一緒に置くことが良しとされています。(故人が守護霊となるため、天に近い場所に安置)
中段には榊(さかき)や霊璽(れいじ)を置き、一番下の段には三方(水と米と塩)やろうそくなどを置きましょう。
仏式におけるご遺骨の置き方と期間
仏式でご遺骨を自宅に置く場合も、その期間は納骨までとなります。
宗派やお寺によって期間は異なりますが、初七日を終えると納骨するケースと四十九日法要後に納骨するケースのどちらかが一般的です。
仏式の後飾り祭壇には二段式と三段式の二種類があります。
しかし、どちらの場合であってもご遺骨を置くのは最上段の中央となっています。
大きく異なるのは遺影の配置で、二段式なら上段に遺骨と一緒に置いて、三段式なら中段中央に置くようにしましょう。
香炉や供物を下段に置くのは共通です。
キリスト教におけるご遺骨の置き方と期間
キリスト教でご遺骨を自宅に置く場合、その期間はカトリックなら30日(追悼ミサまで)、プロテスタントなら一ヶ月目に行われる昇天記念日までが一般的です。
後飾り祭壇の代わりに二段式の献花台を置くことが多く、上段にはクロス(十字架)やロウソクを置き、ご遺骨は下段に献花と共に置きます。
ご遺骨を置く位置が、神式や仏式とは逆になる点に注意しましょう。
ご遺骨を自宅に置く場合の注意点について
手元供養として永続的にご遺骨を自宅に置く場合でも、納骨まで一時的に置く場合であっても注意すべき点がいくつかあります。
共通する項目と手元供養の場合だけの注意点がありますので、それぞれについて詳しくみていきましょう。
【共通】ご遺骨の転倒や破損には細心の注意を
自宅にご遺骨を置く場合、注意したいのが骨壺の落下や転倒です。
特に神式や仏式の後飾り祭壇にご遺骨を置くケースでは、必然的にご遺骨が高い位置に置かれることになるので細心の注意を払う必要があります。
後飾り祭壇に置く場合はご遺骨を端に置かないようにしたり、落下予測地点にあらかじめ座布団などを置いて破損しないように工夫しておくと良いでしょう。
手元供養で永続的に保管する場合も転倒や落下に注意するのは同じですが、ご遺骨を置く場所は慎重に選ぶようにしましょう。
特に小さいお子様やペットを飼っている場合は、低すぎる位置にご遺骨を置かない方が良いケースもあります。
高い位置や足元など落下や転倒の恐れがある場所は避けて、なるべく安定してご遺骨を置けるスペースを確保すべきです。
【共通】ご遺骨を置く環境に注意する
自宅にご遺骨を置いておく場合は、置き場所や環境にも注意を払う必要があります。
- 高温多湿な場所は避ける
- 直射日光が当たる場所は避ける
- ご遺骨をみだりに空気へ触れさせるのは避ける
6月~9月など、雨が多い時期や蒸し暑い時期はご遺骨にカビが生えてしまう恐れがあるので特に注意が必要です。
なるべく風通しが良く、直射日光を避ける場所にご遺骨を置くようにしましょう。
基本的にはカビの胞子がご遺骨に付着しない限り、カビが発生することはありませんので、みだりに骨壺を開けて空気に触れさせるのは厳禁です。
手元供養におけるご遺骨の保管方法については、過去記事でさらに詳しく解説しています。
【手元供養】ご遺骨を置く場所は慎重に選ぼう
後飾り祭壇のように、故人が亡くなってから日が浅い期間であれば「ご遺骨を保管しているんだな」と、人目に触れても違和感や嫌悪感を感じさせる心配はありません。
しかし手元供養の場合は永続的にご遺骨を自宅に置くこととなるので、ご遺骨の存在感が強すぎると来客時などに眉をひそめられてしまう恐れがあります。
一見するとご遺骨だとは気付かれないような手元供養品を選んだり、引き出しやカーテンなどで人目から遠ざけるような工夫をオススメします。
例えば部屋数が少なかったり、生活空間で故人を感じられるリビングにご遺骨を置きたいようなときは、手元供養品を専門で扱っているショップがおすすめです。
来客時にサッと引き出しにご遺骨や供物をしまえる工夫がされている商品や、インテリアとしてリビングに置いても違和感のないような手元供養品などが見つかるはずです。
遺骨の自宅での置き方!無宗教から宗教別まで期間や方法を詳しく解説!まとめ
ご遺骨を自宅に置く場合は、高温多湿や直射日光を避けて落下や転倒に注意した置き方を心がけましょう。
手元供養として永続的にご遺骨を自宅に置くなら、日常生活の妨げにならない工夫や保管しやすい手元供養品を選ぶことで長期的に安心して保管をすることが可能になります。
信仰する宗教上の教えに従ってご遺骨を後飾り祭壇に置く場合は
- 神式なら五十日祭までの期間で、最上段にご遺骨を置く
- 仏式は初七日or四十九日を過ぎるまでの期間が一般的で、段数に関わらず最上段に遺骨を置く
- キリスト教でも期間は納骨までという点は共通。ただしご遺骨の置き場所は下段に変わる点に注意
このように、置き方や期間には若干の違いがあるので教えに沿ったかたちでご遺骨を置くようにしましょう。
また地域や宗派によって上記とは異なるルールがある場合は、無用なトラブルを避ける意味でも周囲の意見を尊重する必要もあるので柔軟に対応すべきです。
自宅にご遺骨を置くこと自体に忌避感を感じたり縁起が悪いのでは?と感じてしまう方は、下記の記事で不安を解消してくれる解説があるので是非とも目を通してみてくださいね。