- 水子の手元供養を検討しているけど周囲の理解が得られない・・
- 死産や流産の悲しみを手元供養で少しでも癒したい
- 可能なら自宅で水子の手元供養を行いたい
水子の手元供養を考えてこの記事へとたどり着いた皆さんは、きっと言いようのない深い悲しみの中で過ごしているかと思います。
流産や死産もしくはやむを得ない事情での人工中絶など、水子供養を真剣に考える経緯は人それぞれです。
しかし記事を読み進める前にこれだけは判ってほしいということがあります。
それは「あなたが悪いわけではない」ということ。
お腹に宿ったいのちを失ったという現実は変えられませんが、自分を責めてしまうことは本当にやめてください。
亡くなってしまった赤ちゃんのためにも、そして何より今一番辛い気持ちを抱えているお母さんの心を癒すためにも、この記事では水子の手元供養について解説していきます。
そもそも手元供養とはどんなものなのか?については、過去記事にて方法から注意点まで詳しく紹介しているので合わせて目を通して頂ければ幸いです。
水子供養の定義と法律について
まずは水子供養とはそもそも何を意味するのか、その定義と法律について知っておきましょう。
一般的な水子供養の定義と方法
水子供養の定義は、出生前に亡くなった子供や出生直前(または直後)に亡くなった子供を対象とした供養全般となります。
一般的には死産や流産の場合は、大々的に葬儀などは執り行わず、水子供養という形でごく親しい身内だけで行われます。
一般的な水子供養の方法と平均相場
- 菩提寺などにお願いして永代供養(平均相場は10万円前後)
- 塔婆を立てて供養する(平均相場は2万円前後)
- 既存の墓に納骨する(平均相場は1万円前後)
- 水子用の石仏やお墓を建てて納骨する(平均相場は25万円前後)
このようにさまざまな供養方法がありますが、なるべく離れたくないという理由から手元供養として自宅での水子供養を選ぶ人が増えています。
水子供養と法的解釈
水子供養を行う前に、お子さんが亡くなった時期によって異なる法的解釈も理解しておく必要があります。
その理由は「死産届」など届出の要・不要や種類が変わってくるからです。
届出が不要なケース(初期流産)
法律上では、死産として扱われるのは「妊娠12週以降の死児出産」です。
そのため妊娠12週未満での流産または人工中絶でお子さんを失った場合は、特に申請書類の提出は必要ありません。
死産届の提出が必要なケース(後期流産および死産)
前述の通り、法律上は妊娠12週以降の胎児が亡くなった場合は、流産か人工中絶かを問わず死産届の提出が義務付けられています。
また出産時に医師が死産と認定した場合も同様に死産届の提出が必要です。
出生届と死亡届の両方を提出しなければならないケース
出産直後に亡くなってしまったときや、未熟児など早期出産で産まれてから間もなく亡くなってしまったときは、死産届ではなく出生届と死亡届の提出が必要です。
法的解釈では、産まれてきたときに「生きていたかどうか」で死亡と死産を分類していることが理由となっています。
死産か死亡かの判断は、医師の判断に委ねられています。
水子供養ではご遺骨が残らないことも
初期流産は言うまでもありませんが、後期流産(死産)の場合でも火葬を終えたあとにご遺骨が残らない可能性は十分考えられます。
遺骨の自宅保管=手元供養というイメージが強いかもしれませんが、自宅で水子の供養をする上で必ずしもご遺骨が必要なわけではありません。
ご遺骨が無くても手元供養は可能
後期流産の場合は死産届の提出と共に、火葬許可証を取得して火葬を行うことになります。
火葬に立ち会ったときに、お子様のご遺骨が燃え残らなかった場合は、遺灰を持ち帰って自宅で供養するという方法があります。
具体的には、手元供養品として販売されている容器などを火葬場へ持参して、職員に持ち帰る旨を伝えるだけで大丈夫です。
初期流産でご遺骨や遺灰が無いときは、パートナーとの思い出の品を供物としたり、お子様の供養を願うための手元供養品などを準備して手を合わせるだけでも立派な手元供養になります。
水子の手元供養を行う上で最も大事なことは、赤ちゃんを供養したいと思うお母さんの気持ちと、それを行うことで少しでも気持ちが安らぐかどうかです。
自宅でご遺骨を保管する方法
火葬を終えてご遺骨が残っていた場合は、手元供養としてご遺骨を持ち帰ることが可能です。
前述の遺灰を持ち帰るときと同じように、ご遺骨を持ち帰るための容器を準備する必要があります。
水子の手元供養でご遺骨を自宅保管するときの注意点
- みだりに開封しない
- 安置する場合は直射日光を避けて風通しのよい場所を選ぶ
水子供養としてご遺骨を自宅で保管する方法に特別な決まりやルールはありません。
しかし空気に触れる機会が多かったり、湿度が高すぎたりするとカビなどが発生する恐れがあるので、なるべく専用の手元供養品などを準備して、状態を保てるように注意するようにしましょう。
ご遺骨の自宅保管するときの注意点については、過去記事で詳しく解説していますので保管に不安がある方は目を通してみてください。
自宅での水子供養が難しいときは
水子の手元供養を行う上で、最も大きな障害となるのが周囲の理解を得られないことです。
お母さんやお父さんなど子を失った当事者の悲しみに、近親者の理解が追い付かない場合など、自宅での供養が難しいこともあるでしょう。
そんなときは手元供養にこだわらず、一般的な方法で水子供養を行うのもひとつの選択です。
水子供養を菩提寺にお願いする
菩提寺とは先祖代々のお墓があるお寺のことを意味します。
身近に菩提寺があるなら、まずは水子供養をしたいということを住職などに相談してみましょう。
予算や供養方法など、具体的な相談にも乗ってくれることがほとんどな上に、先祖代々のお墓に隣接(または一緒に)して供養できるのでお参りもしやすくなります。
菩提寺以外のお寺へお願いする
菩提寺が家の近くに無かったり、何らかの事情で菩提寺にはお願いしたくないときは、インターネットなどで水子供養を請け負ってくれるお寺を探してみましょう。
水子供養のお寺選びのポイントとして
- 自宅から遠すぎないなどお参りしやすいお寺
- 実際に足を運んでみたときの雰囲気が良いかどうか
- 住職の人柄や話しやすさ
- 水子供養の場所や供養方法に納得できるかどうか
近いからと適当なお寺は選ばず複数のお寺を実際に見て回り、気持ちよくお子様の供養をお願いできる場所を探すことをおすすめします。
水子の手元供養で注意すべきこと
最後に水子の手元供養を行う上で注意してほしい点についてお伝えします。
供物や手元供養品にしない方が良いもの
水子の手元供養でも特に初期流産などご遺骨が残らない場合は、亡くなったわが子との関わりが深い物としてエコー写真などを供養品にする人は少なくありません。
もちろん絶対にエコー写真を供養品にしてはいけない訳では無いのですが、なるべくなら避けることをおすすめします。
水子の手元供養で救われるのは誰なのか
水子の手元供養は、亡くなった子供を供養することが目的です。
しかし実際に水子供養で救われるのは、悲しみに暮れるお母さんやお父さんだということを見失わないでください。
エコー写真を供養品としておすすめしない理由として、子を亡くしたという実感と悲しみが長く続きやすいことが挙げられます。
愛するパートナーとの間に、ひとつのいのちが確かに存在したという証を残したい気持ちは間違っていませんが、エコー写真を見るたびに深い悲しみを思い出してしまうのでは本末転倒です。
水子の手元供養で真に救われるべきは、子供を失くしてしまった母親自身だということを忘れないようにしましょう。
前向きになれる水子供養こそが理想的
水子の手元供養は、亡くなったお子様への愛情をかたちにして想いを風化させないために有効な手段です。
- ご遺骨の有無に関わらず亡くなったお子様を想う気持ちがあれば手元供養は成立する
- 周囲の理解が得られないときや、悲しみが逆に続いてしまうときは、無理に手元供養をせずにお寺にお願いする
- 水子の手元供養はお子様のためだけでなく、悲しみを癒す意味もあることを理解しよう
- 供養方法は自分の納得を重要視して少しくらいわがままを通しても大丈夫
子供を亡くした親の気持ちは、中絶や流産であっても全く遜色がないほど辛く悲しいものです。
しかし、深い悲しみを抱えた状態が長期的に続くのは決して良いことではありません。
少しでも気持ちが前向きになる供養方法を考えて実践することが、結果的に最高の供養になるのではないでしょうか。
冒頭でもお伝えしましたが、自分を責めることは決してしないで欲しいです。
この記事がほんの少しでも、皆様が前向きになれるための一助になれば幸いです。
悲しみが深い半年~1年の間だけなど、期間を決めた上で手元供養をするという選択もあります。手元供養についてより詳しく知りたい方は、過去記事も合わせて読んでみてください。