- 高額なお墓や供養に頭を悩ませている
- お墓が遠くて頻繁に墓参りへ行けないのが心苦しい
- 手元供養という言葉は聞いたことがあるけど具体的な方法や費用が全く判らない
- 手元供養で法的な問題やデメリットが無いのか不安だ
- 無宗教だから既存の供養方法に疑問を感じている
手元供養とは、近年若い世代の方を中心に広がっている新しい供養のスタイル全般を意味しています。
宗教観や経済的な問題など、故人の供養に関したさまざまな悩みや不安を抱えている方は少なくありません。
手元供養は供養にかかる費用を大幅に削減できるだけでなく、いつでも自宅で故人を偲び気軽に手を合わすことが出来るとして、年々選ぶ人が増え続けています。
この記事では、手元供養という新しい供養方法に関するさまざまな疑問や不安に感じる問題の解決法をまとめて解説しています。
- 故人を埋葬するお墓に関して悩みを抱えている方
- 深い悲しみを少しでも癒し、前を向いて生活をしたい方
- 古いしきたりや慣例に捉われたくない方
手元供養は供養に関する悩みを抱える方へ、既存の方法とは異なるスタイルを提案する新たな祈りのスタイルです。
故人を強く想う気持ちを反映する上で、供養の形に「こうしなければならない」という絶対のルールは存在しません。
新しい供養方法「手元供養」とはどのようなものなのか、この記事では詳しく解説していますので供養の方法についてお悩みを抱える方は、是非とも参考に役立てて頂ければ幸いです。
手元供養とは”新しい供養方法”で難しいルールやしきたりは無い
手元供養とは2000年代の初頭ごろから広がり始めた”新しい供養方法”です。
- 高額なお墓を購入しなければならない
- 宗教的な考え方に賛同できない
- 家庭の事情でお墓に入れて貰えない
- お盆やお彼岸にしかお参りしないのは個人が可哀相
時代の流れと共に”お墓”や”供養方法”について、その考え方や捉え方は多種多様に変化してきました。
既存の供養方法はお金がかかるばかりでナンセンスだと考える人も増え、経済的な負担や無理をして遠方のお墓へ埋葬するよりも、自宅など身近な場所で故人を偲びたいという人が増えて、新しい供養方法が選ばれるようになってきたのです。
実は【手元供養】という名称自体も、新しい供養方法を提案したメディアや書籍によって造られた造語であり、「〇〇を置いて毎日××をしなければならない!」といったルールや取り決めは一切ありません。
極論を言ってしまえば手元供養とは
ご自宅で故人を偲んで手を合わせる行為、またはその為の設備を整えること全般を意味する言葉となっています。
広い意味では自宅で故人を想うだけでも立派な手元供養であり、厳密な定義が決まっていない供養方法でもあるのです。
一般的に自宅で”遺骨”を保管することを手元供養と呼称
厳密にはルールや定義が定まっていない手元供養ですが、一般的には故人の遺骨を自宅に保管して供養することを意味しています。
遺骨を保管と言ってもその置き方や供養方法はさまざまで、ペンダントや置物など可愛らしい形にしたり、オシャレなミニサイズの骨壺などに入れて、インテリアの一つとして故人の思い出と共に生活をするスタイルがポピュラーです。
また、仏教を信仰していたりスピリチュアル的な考え方を尊重したい人なら、仏壇を利用した手元供養という方法もあります。
手元供養における仏壇の購入や配置方法については、過去記事にて詳しく解説していますので気になる方は合わせて目を通してみてください。
しかし、最愛の人とはいえ人骨を自宅に置くことに忌避感を感じる方にとってはハードルが高いと感じてしまいますよね。
安心してください。
前述の通り、手元供養とは広義においては「故人を想う気持ち」があれば成立します。
実際に遺骨を置かずに手元供養を行っている方も多く、その方法や関連する商品などについても当サイトで詳しく解説しているので是非目を通してみてください。
従来の供養方法と手元供養は共存できる
手元供養という新しい祈りのスタイルは、従来通りのお墓へ埋葬する供養方法と【どちらか一方を選ぶ必要は無い】点も、大きな特徴だと言えます。
例えば、親族や年長者の理解が得られず故人を遠方のお墓へ埋葬した場合で考えてみましょう。
遺骨を分骨(一部を別の場所で保管・埋葬すること)して自宅へ持ち帰ることも理解が得られず、かといって遠方へ頻繁に墓参りへ行くことも難しいと、遺族としては非常に悲しい気持ちになってしまうものです。
仕方が無いので自宅に思い出の写真や位牌を設置して故人を偲ぶ、これも立派な手元供養ということになります。
厳密な定義やルールが存在しない以上、手元供養をする上で遺骨の有無は大きな問題や障害にはならないのです。
”遺骨”の取扱いには法的な定めがある点には注意が必要
手元供養には難しい取り決めやルールは一切ありませんが、遺骨を保管する際には法律による定めがある点には注意が必要です。
日本では「※墓地、埋葬等に関する法律」(※以降は略称の”墓埋法”と表記)という法が定められており、特に遺骨を”埋葬”する場合には法を順守しないと【死体遺棄】という罪に問われてしまう恐れがあります。
法律や罪と聞いて怖いと感じてしまうかもしれませんが、後述する最低限の知識さえあれば罪に問われるような事態にはなりませんので、過敏になる必要はありません。
続いては、遺骨を自宅で保管する手元供養と法的な定めの関係性について詳しく解説していきましょう。
遺骨を保管する手元供養と墓埋法の関係について
まず大前提として位牌や写真などによる”遺骨が無い手元供養”を行う場合であれば、基本的に法律を気にする必要性はありません。
遺骨を保管する手元供養に関しても、実は遺骨の一部(または全部)を自宅で保管するだけなら法に抵触しません。
では、どのような場合に墓埋法を考慮しなければならないのでしょうか?
手元供養を行う上で、墓埋法を意識しなければならないケースは
- 手元供養で※分骨をして、余った遺骨をどこかへ”埋葬”する場合
- 手元供養をしていた遺骨を管理出来なくなった場合
それぞれのケースについて、具体的な解説を交えながら詳しくみていきましょう。
※分骨とは・・・遺骨を複数に分けること
分骨をした遺骨を”埋葬”する場合は埋葬許可証が必要
遺骨を自宅で保管する手元供養では、ほとんどの場合が遺骨を複数に分ける分骨という方法が選択されます。
もちろんすべての遺骨を自宅で保管して供養しても問題は無いのですが、一般的な遺骨の総量は2~3kgもあるので省スペースでの供養やアクセサリーなどで遺骨を管理する手元供養では分骨が主流です。
遺骨を自宅で保管するという行為自体は、許可も不要で特別な申請や手続きをせずとも違法ではありません。
しかし、残った遺骨をどこかへ”埋葬”する場合には必ず「埋葬許可証」が必要となり、許可なく遺骨を埋葬することは禁じられています。
手元供養で遺骨を管理できなくなった場合も注意が必要
もう一つ手元供養をする上で注意が必要なのが、遺骨を管理できなくなった場合や途中で遺骨を手放す場合です。
自宅で遺骨を管理できなくなった場合に、遺骨をどうするかは前もって家族で話し合って決めておくと良いでしょう。
遺骨を墓地へと埋葬する際は埋葬許可証が、お墓とは別の場所へと埋葬する際は分骨証明書がそれぞれ必要になります。
埋葬と散骨の違い
●埋葬とは
死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ること
●散骨とは
遺骨を2mm以下の粉末状に粉砕したものを海や所有地へと撒くこと
一見すると同じような行為に見えますが、実は全くの別物です。
簡単に言うと”埋葬”は法規制されていますが、”散骨”は法による規制が行き届いていないグレーゾーンな遺骨の処理方法だと言えます。
1990年代ごろ、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」が遺骨を粉砕して自然に撒くという”自然葬”を提唱したのが散骨の始まりだと言われています。
こうした新しい動きに対し、昭和23年に作られた墓埋法では対処しきれなかったことと、当時の法務省が非公式ながら散骨を節度をもって行う分には違法性が無いと認めたことにより、法規制されていない新しい供養方法として広がり定着しました。
現在(令和4年5月時点)も散骨に関する法整備は特に無いため、散骨ならお墓はもちろん申請や許可も不要となっていますが、新たな法律が施行されれば規制対象となり得るグレーな方法とも言えるでしょう。
明確に法律で規制されていない散骨ですが、遺骨をパウダー状にすればどこにでも撒いてよいというものではありません。
誰にも迷惑がかからない沖合(漁場や養殖場の範囲を除く)や、所有地など撒く場所は限定的なので個人で気軽に行うにはハードルが高いとも言えます。
また、一部の地域では散骨を禁止する条例が定められている場合もあり、散骨をするのであれば専門業者やくわしい方へ相談した上で行うべきです。
手元供養における分骨方法や手続きを詳しく知りたい
手元供養で実際に分骨を行う場合には、分骨証明書が必要になったり各種手続きの流れを知っておく必要があります。
分骨したご遺骨を埋葬するのか、お墓は1つなのか複数なのかなどケースごとに準備や手順が異なるので手元供養をはじめる前に把握しておきましょう。
分骨の方法や手続きについては、下記の記事で詳しく解説していますので、手元供養に興味がある方は是非とも目を通しておいてください。
手元供養は良くない?メリットとデメリットを解説
「手元供養で遺骨を手元に置くのは良くない」
「遺骨をお墓へ入れないと故人が成仏できない」
このように、手元供養は良くないという意見を見聞きして不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
手元供養を行う上でのメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
手元供養のメリット
手元供養にはさまざまなメリットがあります。
- 供養にかかる費用が大幅に抑えられる
- いつでも好きな時に故人を偲ぶことが出来る
- 趣味や好みに合わせた自由なスタイルを選べる
このように費用面や遺族の故人を想う気持ちを満たす面でも、メリットは多いと言えます。
他にも手元供養なら特定の宗教を信仰していても、無宗教であっても行う上で特に問題が無い点も大きな利点の一つです。
手元供養のデメリット
手元供養を行う上で、最大のデメリットは「周囲の理解を得られない」という可能性がある点です。
特に冒頭で触れたような、スピリチュアル的な考え方や特定の宗教に傾倒している方、古いしきたりを大事にするご年配の方などの理解が得られない恐れがあることが手元供養における最大のデメリットだと言えるでしょう。
また、お盆やお彼岸など「お墓参りシーズン」を迎えたときに、手元供養をしていると他の遺族が自宅へ押しかけてしまうという恐れもあります。
手元供養で迎えるお盆については、過去記事でも詳しく解説していますので気になる方は目を通してみてください。
スピリチュアルと手元供養について
手元供養として自宅で遺骨を管理する上で、スピリチュアル的な部分が気になってしまい、興味はあるけど踏み出せないという人は少なくありません。
例えば風水の考え方なら、遺骨は本来「自然(土)へと還るもの」なので、自宅に置くこと自体があまり良くないと言われていることは事実です。
遺骨を自宅に置く上での良し悪しや風水的な考え方と置き方については、過去記事で詳しく解説していますので気になる方は目を通してみてください。
他にも「手元供養をすると故人が成仏できない」や、自宅にご遺骨を置くのは良くないなどとネットやSNS上の書き込みをみて不安を感じる方もいるかもしれません。
結論からいえば、前述した法律の定める埋葬ルールを破らない範疇であれば、自宅でご遺骨を保管しても全く問題は無いので安心してください。
どうしても縁起や故人の成仏などスピリチュアル的な部分が気になる方は、宗教的な観点も踏まえつつ大丈夫な理由を過去記事にて詳しく解説していますので、合わせて読んでみてはいかがでしょうか。
手元供養でかかる費用
手元供養では費用がどれくらいかかるのでしょうか。
供養の方法によってかかる費用は大きく異なるので一概には言えませんが
- 手元供養だけを行う場合・・・手元供養品の費用のみ(2万円~50万円程度)
- お墓への納骨と併用・・・墓石や地代+供養品費用
- 散骨と手元供養の併用・・・業者に委託(10万円~50万円程度)+供養品費用
おおよその相場は上記のようになっています。
手元供養の費用に関するくわしい解説は、近日公開予定の記事にて具体的な情報を交えながら解説いたします。
記事の公開までしばらくお待ちください。
手元供養品の種類や価格について
手元供養を行うには、故人を偲ぶための手元供養品が必要になってきます。
もちろん故人の写真や思い出の品を部屋の一角に置いて、手を合わせるだけでも手元供養になりますが、なるべくなら専用の供養品を準備した方が見栄えもするのでオススメです。
手元供養品①仏壇
日本人になじみ深い仏壇タイプの手元供養品は、幅広い年齢層の方に選ばれています。
デザインなども豊富で、宗教的な考え方が根強い方でも抵抗なく手元供養が行えます。
手元供養品の中では比較的高額になることが多く、10万円~50万円程度が相場です。
手元供養品②手元供養用の棚
無宗教の方や仏壇を部屋に置くのはハードルが高いという方に人気があるのが、手元供養用の棚です。
仏壇よりも気軽な雰囲気でインテリアとして部屋に馴染みやすく、位牌や遺骨を置かずに手元供養をしたいという方には特におすすめです。
生前の写真や思い出の品と一緒に簡易的なお祈りセットを合わせるスタイルから、オシャレな骨壺と位牌を組み合わせるスタイルまで、手元供養のスタイルを問わず準備しておくと便利な手元供養品の1つです。
手元供養用の棚は相場が2万円~10万円程度と仏壇に比べて安価な点も、費用を抑えたい人には助かりますよね。
手元供養品③骨壺
”遺骨”を保管する手元供養を行うのであれば、自宅用の骨壺を準備した方が良いでしょう。
遺骨の保管と聞いて、大きな骨壺をイメージしてしまう方が多いですが、手元供養品として準備する骨壺は手のひらに乗ってしまう程の小さなタイプが主流です。
手元供養では大抵の場合は遺骨を”少量”だけ分骨して手元に残すので、骨壺も小さくてオシャレな物が多くパッと見で遺骨が入っていると思わせないタイプの骨壺が人気です。
前述の手元供養用の棚や仏壇と骨壺をセットにして手元供養スペースを作るのが一般的ですので、自分のスタイルや設置方法に合わせて骨壺のサイズやデザインを選ぶと良いでしょう。
手元供養品として販売されている骨壺は、2万円~10万円程度が相場です。
手元供養品④ペンダント
少量の遺骨をペンダントに入れて肌身離さず持ち歩くというスタイルの手元供養もあります。
手元供養品のペンダントは、使われている素材によって価格が大きく異なりますが、2万円~10万円程度が相場です。
手元供養品⑤人形やぬいぐるみ
少量の遺骨を人形やぬいぐるみに入れて保管するという手元供養品もあります。
しかし人形には魂が宿るなどのスピリチュアル的なイメージが先行しているせいか、手元供養品として人形に遺骨を入れる人はあまり多くはありません。
その一方で、ペットの遺骨を生前の姿に似たぬいぐるみの中に入れて供養するスタイルは人気となっています。
価格帯も数千円~と安価な商品も多く、ペットの手元供養を考えている場合ならオススメです。
手元供養品の種類や価格を詳しく知りたい
- 手元供養品の具体的な商品説明や種類の解説
- ペットの手元供養を詳しく解説
上記についても、近日公開する記事で詳しく解説する予定となっております。
しばらくお待ちください。
手元供養はこんな方におすすめ
手元供養はメリットが多く、自由度が高い新しい祈りのかたちとして近年特に注目が集まっています。
- 無宗教の方
- 故人にお墓で寂しい思いをさせたくない方
- お墓に関する問題で悩んでいる方
- 経済的な負担をなるべく減らしたい方
こんな方に手元供養は特におすすめです。
しかし、メリットばかりではなくデメリットもあるのでは?と不安を感じる方も居るかと思います。
確かに手元供養で起こる可能性のあるデメリットは存在しますが、メリットの方が圧倒的に多くデメリットとされる問題点も対策を講じれば解決できることが多いと言えます。
より詳しく手元供養のメリットとデメリットについて知りたい方は、下記記事にて詳しく解説していますので是非とも読んでみてください。
手元供養とは新しい祈りのスタイル!手元供養にまつわる不安や疑問を一挙解説!まとめ
手元供養とはこれまでの供養における常識やしきたりに捉わることなく、自由なスタイルで故人を偲びたいという思いから生まれた新しい祈りのかたちです。
- 手元供養は難しいルールは無いが”埋葬”が伴う場合は許可申請が必要
- 散骨という供養方法もあり、手元供養と組み合わせたスタイルが人気
- お墓を購入するより経済的負担が大きく軽減される
- 手元供養品は種類も豊富で自由度も高い
- ペットの手元供養もある
新しい供養方法であるが故に、周囲の理解を得られない恐れがあるというデメリットはありますが、お墓に納骨した上で個人的に手元供養を行えば不要な衝突は避けることが出来ます。
高額な出費を求められた挙句に、お墓参りはお盆とお彼岸の2回だけ。
そんな形式だけの供養より、生活の一部として故人を偲ぶ機会を持ちたいという気持ちの表れこそが手元供養であり、それを縁起が悪いと言う方がナンセンスだと感じるのは私だけでは無いはずです。
手元供養を行う上で最も大切なことは「故人を大切に想う気持ち」で、その気持ちさえあれば誰でも簡単に始められる気軽さも人気が高まっている要因かもしれません。
供養やお墓の問題で頭を悩ませているなら、手元供養という新しい祈りのかたちを選んでみてはいかがでしょうか。